1.どのような施策ですか?
2.この法律で講じられている支援策は何ですか?
(1)税制支援(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)の前提となる認定
<FAQ>
質問:どんな税制支援がされるの?
経営承継円滑化法における都道府県知事認定を受けておけば、先代経営者から株式や事業用資産を贈与・相続しても、贈与税・相続税の納税を猶予又は免除されちゃいます。
質問:相続税だけじゃないの?
現経営者から後継者への株式の贈与、すべての株主から後継者への株式の贈与が免除の対象になります。
個人事業の場合は、事業用資産の贈与が贈与税免除の対象になります。
質問:どんな手続きが必要ですか?
「特例承継計画」または「個人事業承継計画」を作り、都道府県庁へ提出して認定書をもらいます。
毎年1回都道府県庁へ「年次報告書」を提出し、税務署へも「継続届出書」を提出します。
質問:事業承継税制の特例(①対象株式数・猶予割合の拡大②対象者の拡大③雇用要件の弾力化等)を受けられる期間はいつまでですか?
平成30年4月より10年間の時限措置(2018年1月~2027年12月まで)です。
本制度の適用を受けるためには、贈与税・相続税の納税猶予の認定申請(本申請)に先立ち、2024年3月までに都道府県知事に「特例承継計画」を提出し、確認を受けておく必要があります。
質問:どんな贈与税が免除になるのですか?
A現経営者から後継者への株式の贈与、すべての株主から後継者への株式の贈与が免除の対象になります。
個人事業の場合は、事業用資産の贈与が贈与税免除の対象になります。
(2)金融支援(中小企業信用保険法の特例、日本政策金融公庫法等の特例)の前提となる認定
<FAQ>
質問:どんな金融支援がされるの?
事業承継の際に代表者個人が必要とする資金の融資を受けることができます。
会社及び個人事業主には、信用保証協会の通常の保証枠とは別枠が用意されます。
質問:事業承継でもらえる補助金にはどんなものがあるのですか?
「事業承継・引継ぎ補助金」には、経営革新事業と、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業の3つがあります。
質問:経営承継円滑化法における金融支援の対象となる資金使途はどのようなものですか?
経営者の死亡及び退任に伴い必要となる資金や、他の事業者から経営を引き継ぐための買収資金の調達が支援対象となります。親族外承継や個人事業主の承継も対象としています。金融支援を受けるためには、都道府県知事の認定が必要です。
(3)遺留分に関する民法の特例
<FAQ>
質問:民法上の遺留分への対応ってどんなこと?
後継者が贈与された株式等について、他の遺産相続人から遺留分(遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合)侵害請求の対象とならないようにすることができちゃうよ。
(4)所在不明株主に関する会社法の特例の前提となる認定
<FAQ>
質問:所在不明株主に関する会社法の特例とは何ですか?
会社法上、株式会社は、株主名簿に記載はあるものの連絡が取れない所在不明株主に対して行う通知等が5年以上継続して到達せず、当該株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しない場合、その保有株式の競売又は売却(自社による買取りを含む)の手続が可能になっています。
経営承継円滑化法では、上場会社等以外の中小企業者である株式会社のうち、一定要件を満たし、都道府県知事の認定を受けた場合、この「5年」を「1年」に短縮することができます。
(5)その他
<FAQ>
質問:事業承継でもらえる補助金にはどんなものがあるのですか?
「事業承継・引継ぎ補助金」には、経営革新事業と、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業の3つがあります。
質問:事業承継・引継ぎ補助金ではどんな費用が補助対象となりますか?
経営革新事業では事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新等を行う事業者に対して、その取組に要する経費の一部が補助の対象となります。
専門家活用事業では、譲渡側・譲受側双方の始業専門家の活用にかかる費用が補助の対象となります。
事業承継・引継ぎに当たり廃業を伴う場合には、廃業費用についても支援を受けられます。
3.支援スキームを活用する手続きは?
(1)税制支援(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)の前提となる認定
経営上の課題
<FAQ>
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質問:特例経営承継計画の課題は何を書けばよいのですか?
特例計画書の様式には経営上の課題を記載するようになっていますが、いきなり課題を書くのは極めて困難です。通常はまず企業の現状を調べ、現状に基づいて今後の方針を決め、その方針の実現のために解決すべき問題点を見つけます。その解決すべき問題点が課題です。
ですから、まず最初に現状分析が必要です。現状分析の方法はいろいろありますが、SWOT分析か、その簡略版である3C分析をお勧めします。 -
質問:SWOT分析とはどのようなものでしょうか?
SWOT分析というのは、まず企業の内外の環境の要因を、強み(Strong)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の4つに分けます。
具体的には、企業の内部の状況として、財務、人事、オペレーション、技術、設備、販売などの状況、外部の状況として顧客・市場の動向、競合の動向、社会情勢、などを調べます。これらをリストアップし、全体を俯瞰して眺めることによって現状を把握します。この現状から事業戦略の方針を導き出すのがSWOT分析です。 -
質問:事業戦略や今後の方針はどうやって決めるのですか?
機会である市場に、強みとなる商品・サービスを投入する、というのが一般的なセオリーになります。この時に、障害となるような脅威や弱みがないかどうかを分析して、脅威に対する対処方法、弱みの補強方法を考え、これらをまとめて事業戦略、あるいは今後の方針とします。このときの障害となる脅威や弱みが課題になります。
課題の対応策
<FAQ>
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質問:課題の対応策ってどうやって書くの?
SWOT分析から今後の方針である事業計画とそのために解決すべき課題が明確になったら、課題である脅威や弱みの対応策を、現在保有する強みや事業機会を活用して考えます。
場合によってはこのために設備投資を行ったり、必要な技術の導入、人材育成が対応策になる場合もあります。
将来の見通し
後継者の決定
<FAQ>
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質問:特例承継計画の承継後5年間の計画は何を書くの?
まず、将来5年後。10年後にどうなっていたいか、目標を決めます。そのためには5年後にどうなっている必要があるかを考えます。5年後にそうなっているためには、4年後にはどうなっている必要があるか、4年後にそうなっているためには3年後にどうなっている必要があるか、と順次1年後にどうなているか、までを決めます。
次に、1年後にそうなっているためには最初の1年間に何をやる必要があるか、2年後にそうなっているためには2年目の1年間に何をやる必要があるか、というように順次毎年に行うべきことを決めてゆきます。
このようにして5年間の具体的な実施内容を決めます。
特例承継計画の作成
認定
(2)金融支援(中小企業信用保険法の特例、日本政策金融公庫法等の特例)の前提となる認定
事業承継時の資金調達
経営者保障の解除
認定
(3)遺留分に関する民法の特例
遺留分の検討
認定